創業融資はいくらまで借りられる? 必要な自己資金も

起業する際に自己資金が不足し金融機関の創業融資を希望する方も多いのではないでしょうか。実際、公的金融機関や民間銀行などが創業向けの融資サービスを提供しており、利用する人も多勢いらっしゃいますが、融資額や必要な自己資金は異なります。

そこで今回の記事では、創業融資を「いくらまで借りれるか」「自己資金がいくら必要になるか」について詳しく解説します。創業融資の内容、利用条件、必要となる自己資金額などを把握したい方は、参考にしてみてください。

1 創業融資とは

創業融資とは

創業融資とは、創業・開業する際に自己資金だけでは事業資金を調達できない個人等のために金融機関が貸付けるサービスを指します。

創業融資では創業者だけでなく、個人事業主や創業してから一定期間内の事業者も含まれるケースも多くあります。資金使途は設備投資や運転資金などの事業資金に限られるため、投機や生計、借金返済などの用途では通常利用できません。

利用要件は様々ですが、自己資金の要件が設定されるケースもあり、一定額以上の自己資金が必要なったり、審査で自己資金額が影響したりする場合もあります。

創業融資を提供する金融機関と創業融資の主なタイプは以下の通りです。

 

1-1 日本政策金融公庫の創業融資

株式会社日本政策金融公庫(日本公庫)は政府系の公的金融機関で、国の施策に関連して企業等の資金調達を手助けしており、その事業の中で以下のような創業に関連する融資サービスも提供しています。

日本政策金融公庫の創業融資

・新規開業資金
融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)

・女性、若者/シニア起業家支援資金
融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)

・新創業融資制度
融資限度額:3,000万円(うち運転資金1,500万円)
新創業融資制度は新たに事業を始める者や事業を開始して間もない者が無担保・無保証人で利用できる融資制度(上記などの他の融資制度と合わせた利用)です。

*以上2021年6月1日現在の情報です。

 

1-2 自治体+信用保証協会+金融機関の創業融資

東京都の中小企業制度融資の場合

この融資は、自治体、信用保証協会(公的機関)と金融機関が連携して創業・開業に必要な資金を貸付けるサービスです。自治体等は利用者に対して各種の支援を行い、信用保証協会が債務保証を担って金融機関から融資の実行を促す制度融資の1形態になります。

都道府県や市などが推進する融資サービスであるため、利率などが低く融資額が多いなど有利な条件で利用できるのが特徴ですが、利用の申込みから融資実行までの時間が短いとは言えません。

具体的な例として、東京都では中小企業制度融資の1つとして「創業融資」が提供されています。その融資限度額は3,500万円です。

 

1-3 民間銀行と信用金庫の創業融資

都市銀行・地方銀行・信用金庫の場合

都市銀行、地方銀行や信用金庫の中には独自の創業融資サービスを提供しているケースも見られます。融資限度額は500万円~1000万円程度が多く、公的な創業融資サービスと比べるとやや少ないのが特徴です。

このように、創業融資は様々な金融機関が関与して提供しており、融資限度額や利用要件も異なります。希望の調達額を満足することが前提ですが、利用要件、借入条件や融資実行までの時間などを考慮して調達先や融資制度などを検討することが重要です。

2 創業融資で借入できる金額

創業融資で借入できる金額

創業融資でいくら借入できるかは各金融機関、各融資制度などの融資サービスごとの融資限度額で異なるほか、各利用者の借入限度枠で決まります。

各融資サービスには制度上最大限融資できる上限額(融資限度額)が設定されており、それを超えた資金提供はありません。また、借手への実際の融資額はその融資限度額の範囲内で、かつ、借手の状況を踏まえて決定されます。つまり、後者が借入限度枠になります。

例えば、融資限度額が1千万円と設定されていても、借手の状況により借入限度枠が5百万円と設定されることもあります。この借入限度枠を設定する要素は各金融機関や制度により異なりますが、既存の借入金額や自己資金の内容などが影響することも少なくありません。

なお、金融機関によって借入限度枠は異なり、以下のような方法で検討されることがあります。

●既存の借入金額の考慮

融資制度や商品の要件に明記されていない場合でも借手の既存の借入状況が借入限度額に反映されることもます。例えば、1千万円の融資限度額である場合でも既存の借入額が4百万円あれば、その分を差し引いた残額の6百万円が限度枠になるのです。

●返済原資の大きさの考慮

借入限度枠を返済が可能な金額と考えれば、「保有する返済原資×返済期間」が融資の借入限度枠になります。毎年の返済原資の基礎は様々な収入から支出を差し引いた残りとなるため、毎年の「税引後利益+減価償却費」が主な返済原資です。

例えば、年間の税引後利益+減価償却費が2百万円で5年返済の融資を受ける場合、1千万円が借入限度枠の目安になります。ただし、融資を受ける時点の既存の借入額の考慮も必要なので、それを含めると算定式は以下の通りです。

借入限度枠=(税引後利益+減価償却費)×返済年数-既存の借入額

3 創業融資を受けるために必要な自己資金とは

創業融資を受けるために必要な自己資金とは

創業融資を受ける際の融資限度額等は、自己資金との関係で決定されることも多くあります。詳しく見ていきましょう。

 

3-1 創業融資における自己資金要件

創業融資では自己資金について要件が設定されているケースとされていないケースの両方があります。

 

①自己資金の要件があるケース

創業融資サービスごとに様々な要件設定があり、具体的には以下のような例が見られます。

・新創業融資制度の自己資金要件
⇒新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(対象外あり)

・大阪府の制度融資の「開業サポート資金」(「開業資金」と「地域支援ネットワーク型」)
⇒開業資金:事業開始に必要な資金の1/5以上の自己資金額
⇒地域支援ネットワーク型:事業開始に必要な資金の原則1/10以上の自己資金額

 

②自己資金の要件がないケース

自己資金について明確な設定がないケースがあります。ただし、金融機関は自己資金を重要視しているため、自己資金の要件設定がなくても一定額以上の確保は不可欠です。

 

3-2 融資限度額と自己資金額の関係

融資限度額と自己資金額の関係

各融資制度や商品において、自己資金の要件の有無や内容と関係なく実際に調達できる融資額が自己資金の一定割合以上などに設定されている可能性もあります。

例えば、融資限度額の範囲で、かつ、自己資金額の数倍程度が実際の借入限度額になるケースがあります。各融資制度や金融機関などによって異なりますが、実際の融資可能額が自己資金の3倍程度といったケースがよく見られます。

例えば、日本公庫では創業のQ&Aの自己資金額の質問で「公庫が融資先の創業企業を対象として実施した調査(「新規開業実態調査」)によると、創業資金総額に占める自己資金の割合は平均で3割程度となっています。」と示しており、確保する金額の目安になり得ます。

融資限度額が1千万円の創業融資サービスであっても、借手の自己資金が1百万円なら実際に借りられる金額は、3~4百万円ほどになる可能性もあります(借入状況や事業内容等にもよる)。

このような自己資金額による融資額の設定は各金融機関等で異なるため、申請する前に、必要な自己資金額について金融機関の担当者と相談することが大切です。

4 まとめ

まとめ

創業融資でいくら借りれるは、各融資サービスの融資限度額のほか利用者ごとに決まる借入限度枠により決まります。また、その借入限度枠は、返済原資の内容や借入額、自己資金額等によって影響されます。

自己資金の要件も各サービスや金融機関で異なるため、申込む金融機関に相談し、手続きを進めるようにしましょう。

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